ガリーボーイとフラペチーノ

中学生くらいの精神年齢なので、なんの目的もないのに東京にいってみよ〜なんて電車に乗り込んだところ。新幹線に乗らなきゃいけない場所だったので一本で渋谷まで着いてしまうのは凄いことだ。1時間かかるから思ってたほど近くはないのだけれど。

この前、先輩と飲んでた時に「〇〇が今東京から帰ってるから二次会くるって」と言われ、え??もう22時ですけど今東京なら間に合わなくないですか??と、大真面目に聞いてしまった。田舎者は難儀だな。

現在の到着駅は北千住。埼玉県はどこにいても池袋が1番近いらしいと何の根拠もない情報しか持ってなかったので、越谷市は全然池袋に辿り着けなくてほんの少し落胆?に似た感覚を覚えている。

北千住めちゃめちゃ近いから、北千住でお酒飲めるようになりたいなとだいぶ前から思ってるけど一向に足を運ぶ気にならない。

そもそも誰かとの中間地点として選ばないかぎり、酔っぱらった後に電車に乗る必要のある地をわざわざ選択する気にならない。(人生つまらなそ〜)

 

話は昨日久しぶりにDVD借りてきて映画を観た。現在麻酔科を回ってるのだが、麻酔導入しちゃったらなんかない限り暇という性質上、オーベンの先生と雑談する機会が多い。この前当たった先生は歯科医だったが歯科麻酔に進んだらなし崩しに医療麻酔界に入ってずっとやってるが、医者よりは立ち位置が低い微妙な立ち位置になってるという興味そそられる経歴の女の人だった。趣味はあるかというありきたりな話題から、映画が好きだという旨をつたえたら低めのテンションではあったが乗ってきてくれた。かなりコアな趣味をしていらっしゃって、面白いと感じるポイントもそれを気にしたことはなかったというものばかりで、名作の話ひとつとってもかなり造作の深い話を聞けたのであった。面白くないと思ったことはハッキリとつまらないと言う人で、世論とかにまるで影響されない(評価の高いものをつまらないと言う自分カッコいい的な、寒い批判の仕方ではないのだ)自分が明確に持ってる人だなと少なからず感動した。

 

自分音楽好きですって話から、その人は「私はずっとHIPHOPだけなんだよね」って言ってて見た目から想像もつかなかったので笑ってしまった(のちに総合したらまぁ確かに好きそうだわと落ち着いたが)

 

インド映画にHIPHOPを題材にした作品があるとのことで「ガリーボーイ」という作品を教えてもらった。新しい環境くるといつも停滞していた自分の価値観が広がるのを感じる。こういう出会いは大切にしたいものだ。

 

前置きが長くなったが、つまりは昨日はガリーボーイを借りてきて観たのです。以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本作は実在するインドのストリートラッパーのデビューするまでを元に製作されたもの。

インドのスラムで育ったムラドは先のわかりきったドン底生活を送っている。唯一の趣味はラップくらいで英語のアーティストの曲をいつでも諳んじられるほど聴き込んでいた。父親はすぐブチ切れる典型的な負け犬体質でしかも浮気相手を重婚として家に連れ込んでいるとかいう最悪の家庭環境で、大学もあまり行かず悪友と悪ふざけする毎日だったが、大学でシェールという男のHIPHOPライブをみた瞬間音楽に取り憑かれる。触発されて書いた歌詞をシェリーに使って欲しくて、シェールがジャムセッションをしてる廃墟に会いに行く。シェールは「なぜ俺がお前の言葉を?お前の叫びはお前が歌え(ニュアンスです)」と促し集まった仲間の前でムラドに即興で歌わせます。それからムラドのHIPHOP生活は幕を開けるという話。

HIPHOPはあんまり馴染みがないのでイマイチ盛り上がりにかけるなとは思ったけれど、やっぱり音楽を題材にした映画の素人が初めて人に認められる場面は最高だなと思う。音楽は勿論音が大事なのだが、それを構成する要素を視覚情報が大きく担ってるのは確かだなと思う。人がライブが好きである由縁。

こういう映画は一度大失敗して恥をかくという展開が中盤にありそうなものだが、ムラドは着々と登っていって意外だったが、見終わって調べたら実話だったので納得した。本当に天才だったのだな。

実話と知ってから思い返す不思議だった点にも色々なるほどと思う。まず、登場する全ての親が毒親なのだ。これにはびっくりした。1人くらいまともな理解者いないの???ってくらいヤバいやつしか出てこない。インドってそういうものなのだろうか。中国が舞台でもこういうのよく観るけど、もうちょっと大らかそうなイメージだけどなあなんて。しかし実話であるなら映画的なご都合主義は一切なくても不思議ではない。

スラムとはそういうところであるようだ。作品のテーマとしても「金がないということは全ての選択肢を狭め、人間の希望を奪う」と言ったような金銭のコンプレックスや階級的な考えが根本にどっしりと置かれていた。最後の父親との真向衝突の場面、もっと言ってやれよと思ったけど。まぁ日本よりは親への尊敬という価値観が根付いているのかもしれない。

もう一つはずっと付き合っている彼女がいるのだけれど、コイツがマジでお天馬で凄い。主人公にラインを送った大学の同期の女をわざわざ殴りに行ったりと、主人公が途中で出会う音楽プロデューサーのスカイとちょっと浮気したらスカイをビール瓶でぶっ叩いて捕まると兎に角破天荒で面白い。なのに普段は医学生で親には許嫁と結婚する男なんて知らないいい子だと振る舞っている(流石に無理あるだろ)

浮気されたのは可哀想だけどそもそもブチ切れたら男じゃなくてその女にキレるのが意味わかんないし、そこまで強いならもう他に切り替えれば良くない?とも思う。

まあ、ヤバい女だが、とにかく、顔が可愛い。あー顔がいいというのは本当に正義だな。視聴者も完全になんだこの女って嫌いになりかけていた終盤で主人公に久しぶりにコンタクトをするシーンで、電話がかかってきたらそれはもう可愛い顔で喜ぶものなので、これまでの全てが帳消しなってしまったに違いない。まあスカイも可愛いし、家がめちゃめちゃオシャレなのでスカイでもよくね??と思ったこともあったけれど。9年付き合っていたのは伊達ではなく、やっぱり恋愛というものにおいて1番力を持つのは情というものなのかもしれないと思ったのであった。

やな点ばっかあげてしまったけど、青春サクセスもので1番大切なのはやっぱ男同士の友情なのである。自分は既に地元の有名人なのにも関わらず、素人であるムラドをなんの裏もなく評価し、HIPHOPの世界に引き込んでくれるところは文句なしにいい男と思ったし、こんな奴と出会っていたら人生が大きく違っていたかもしれないと感じる人も多いのではないだろうか。それほど魅力的な人物だ。幼馴染の悪友もなかなかいい奴で面白い。やってることは最低だけど。ムラドを最高に導いたのはこうした仲間たちなんだなと。

まあ色々書きましたがとてもいい映画でした。皆さんも是非。

 

とっくに渋谷にはついていて、スクランブルスクエアのスタバで瀬尾まいこを一冊買って飲み物を注文しようとしてるところ。何故休みにわざわざ渋谷まで来てスタバにいるのかは私にもわからない。とりあえず一旦座りたくなったからだと言っておく。このあとなにしようかな。少なくとも小説読んでる場合ではないだろうな。それではまた。